日語閱讀-骷髏的秘密
2021-11-17 13:18 | 編輯:川外外語培訓中心  來自:未知 
導讀:どくろの秘密 しばらくすると、骸骨すがたの博士が、ヒョイと、うしろをふりむきました。小林君の息が、博士の耳のうしろを、くすぐったからです。 骸骨のふたつの大きな目と、百科事典の化けものの少年の目とが、火ばなをちらすように、にらみあいました。
どくろの秘密

 しばらくすると、骸骨すがたの博士が、ヒョイと、うしろをふりむきました。小林君の息が、博士の耳のうしろを、くすぐったからです。
 骸骨のふたつの大きな目と、百科事典の化けものの少年の目とが、火ばなをちらすように、にらみあいました。
「きみはだれだ。どこから、はいってきた。」
 金色の骸骨の口が、パクパクうごいて、ぶきみな、ひくい聲がもれてきました。
「ぼくは四十面相を追っかけているのです。明智探偵の助手の小林っていうのです。」
「フーン、そうか。明智探偵の名はよく知っている。小林という、すばしっこい少年助手がいることも、話にきいている。しかし、その小林君が、どうして、わしのうちへ、はいってきたのかね。ここには四十面相なんて、いやしないじゃないか。」
「いたのですよ。いましがた、ここを出ていったばかりです。」
「ばかなことを言いなさい。ここには、わしのほかに、ふたりの骸骨がいたばかりだ。ふたりとも、わしの親戚のものだ……。わしたちは、ある秘密の相談をするために、こんな骸骨のシャツを著て、會議をひらいているが、けっして、悪事あくじをはたらいているのではない。四十面相などとは、なんのかんけいもない。」
「ところが、あの骸骨のひとりに、四十面相が化けていたのですよ。あいつは、そうして、あなたがたの秘密を、さぐりだしにきたのです。」
「いや、そんなことはない。にせものなれば、黃金どくろを持っているはずがない。わたしたちは、みんな一つずつ、黃金どくろを持っている。それがなによりのしょうこなのだ。」
「じゃあ、ぼくもしょうこを見せてあげましょう。それはたぶん、一階のどこかの部屋に、ころがっているはずですよ。」
 小林君は、博士を手まねきしながら、ドアのそとへ出ていきます。博士は、そうまで言われて、もしやという、うたがいがおこったのでしょう。そのまま、小林君といっしょに、地下室の階段をのぼって、一階の廊下に出ました。
 小林君はさきに立って、廊下にならんでいるドアを、つぎつぎとひらいて、なかをのぞいてゆきましたが、ある部屋のドアをひらくと、ハッとしたように立ちどまって、博士のほうをふりむき、目で「ここだ。」という、あいずをしました。
 博士もいそいで、その部屋にはいってみますと、ガランとしたあき部屋のゆかに、金色の骸骨が、ながながと、橫たわっていました。口には、さるぐつわをはめられ、手と足を、グルグルまきに、しばられているのです。
 ふたりはおどろいて、そのそばにかけよりさるぐつわをとり、なわをといて、ようすをたずねますと、その人は、まさしく、博士の親戚の人のひとりで、廊下を歩いていると、とつぜん、自分とおなじ骸骨のシャツを著た男が、とびだしてきて、アッと思うまに、こんなめにあわされてしまった。そのとき黃金どくろも、とられてしまった、と言うのでした。
 博士は、この骸骨男と、小林君を、書斎にあんないして、イスをすすめ、骸骨のふくめんをとって、顔をあらわしました。
 小林君が、このまえすきみした、主人の博士にちがいありません。半分白くなったオールバックの頭と三角がたのあごひげに見おぼえがあります。博士はデスクの上からロイドめがねをとって、かけました。すると、いよいよ、あのときの博士の顔と、そっくりになるのでした。
 あき部屋にたおれた骸骨男も、ふくめんをとりさりました。これも五十歳をこした中老の、りっぱな紳士です。頭の毛はうすく、でっぷりふとった、あから顔で、ひげはありません。
 博士はその紳士に、いままでのことを、ひととおり説明したあとで、小林君のほうに、向きなおりました。
「小林君、きみは、わしたちの味方だろうね。つまり、四十面相の怪人は、おたがいの敵というわけだね。」
「もちろんです。ぼくは四十面相のやつには、ふかいうらみがあるのです。ですから、四十面相が、あなたがたの秘密を、ぬすんだとすれば、ぼくは、あなたがたの味方になって、四十面相のじゃまをしてやりますよ。それにしても、黃金どくろの秘密というのが、なんのことだか、ぼくには、すこしもわかりません。それを話してください。」
 小林君が、ハキハキした口調で、たずねました。
「ウン、黃金どくろの暗號の文句は、きみも、すっかり聞いてしまったのだから、かくしてもしかたがない。じつは、わたしたちは、何百億、何千億という、ばくだいな寶のありかを、さがしている。さっき、地下室で、きみが聞いた暗號をとけば、その寶のありかが、わかるのだ。
 くわしいことは、あとで話すが、いまから百年ばかりまえに、ある人が、ばくだいな金のかたまりを、どこかへかくして、そのかくし場所を、三つの黃金どくろに、暗號でほりつけておいたのだ。
 わしは、ながいあいだ苦心をして、そのことを発見した。黃金どくろの秘密は、わしが持っているが、あとのふたつをさがすのに、ずいぶんほねをおった。そして、やっと、ふたつのどくろの持主をみつけて、暗號のけんきゅうをはじめたところなのだ。
 だが、わしたちは、けっしてどろぼうをやるのじゃない。百年まえに金のかたまりをかくしたのは、大阪の大金持の、黒井惣右衛(wèi)門くろいそうえもんという人だが、わしは、その四代めの子孫にあたる黒井十吉くろいじゅうきちというものだ。ついこのあいだまで、大學でドイツ文學をおしえていた。ここにおられるのは松野まつのさんという、ミシン製造會社の社長さんで、やはり惣右衛(wèi)門の子孫だ。それからさきに帰ったもうひとりは、八木やぎさんという貿易會社の社長さんで、やっぱり惣右衛(wèi)門の子孫なのだ。つまり、わしたちは、先祖の寶物をさがしだそうとしているのさ。」
「わかりました。ところが、黃金どくろをもっている、惣右衛(wèi)門さんの子孫は、三人だと思っていたのが、そうではなくて、四人だったことがわかったのですね。」
 小林少年は、さっき地下室で聞いたことをすばやく思いだして、たずねました。
「そうなんだ。そのほかに、考えようが、ないのだ。」
「ああ、きっとそうです。四十面相のやつが、そのもうひとつの黃金どくろの、ありかを知っているのですよ。でなければ、あんな苦労をして、あなたがたの會議の席へしのびこむわけがありません。」
 それを聞くと、黒井博士は顔色をかえて、思わずイスから立ちあがりました。
「ウーン、そうか。しまった。すると、あいつは、もう、すっかり暗號をといてしまったかもしれない。小林君、なぜ、もっとはやく、わしにおしえてくれないのだ。あいつを逃がしては、とりかえしがつかないじゃないか。」
「いいえ、逃がしゃあしません。ちゃんと、つかまえています。」
「エッ、つかまえているって? どこに……。」
「ぼくには、チンピラ別働隊という、たくさんの部下があります。今夜、ぼくが、ここへしのびこむまえに、そのうちの、二十人のすばしっこい少年たちを、おたくのまわりへ、配置しておきました。けっして、四十面相を逃がすようなことはありません。いまに、なにか知らせがあります。ぼくは、チンピラどもの腕まえを、信じています。」
 小林君は、リンゴのようなほおを、いっそう赤くして、さも、自信ありげに、言いきるのでした。

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